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田中洋先生の就活アドバイス(一覧ページ)

就活アドバイス1:就活で以前学部学生に言っていたこと1:面接で「アルバイト」・「旅行」・「サークル活動」の3つの話題を売り物にしたり、口にしないこと。なぜなら多くの人が似たような経験を述べるので、まったく差がつかない

就活アドバイス2:もしもアルバイトの経験を語りたいならば、「病院で死体を洗うバイトをやりました」のような思わず聞いてみたい話題ならばOK。コンビニのバイトで接客をすることの楽しさを知りました、などはNG。

就活アドバイス3:しかしながら、面接で話すべき話題はこれを話せばよい、というものがあるわけではない。何を話すかよりも、どのように話すかが重要。たとえば自分の散歩の経験について1時間話せるようにしてみてはどうか。
 
就活アドバイス4:かつて私が担当していた学部ゼミは就職は比較的良いゼミだった。観察していると、当り前のようだが、「志」をもった学生のほうが、ない学生よりも、就活では優秀な成績を収めた印象がある。志があると、語ることに一貫性と説得力が生まれるせいでは。

就活アドバイス5: 私が入社試験面接担当をしていたころ、志願してきた学生で勉強のことを語る人が少ないのに気づいた。私はこういう勉強をしてこういう 成果を出しましたで十分売り物になるはずなのに。ソニーの技術者採用の人も、大学の研究の話でその人の実力がわかるとのこと。
 
就活アドバイス6:アイコンタクトはごく簡単な訓練次第ですぐにできるのにも関わらず、それを準備する学生はごく少ない。友人同士で向き合って座り、目を 見ながら話す訓練が有効。最初は誰でも笑いだすが、慣れるとアイコンタクトが容易にできるようになる※(スズキからコメント)

就活アドバイス7:前任校でゼミを担当していたころ、氷河期にはゼミに参加を希望する学生が殺到し、氷河期が過ぎると学生志願者がどっと減る現象を目にしてきた。ゼミは日本独特の制度だが、活用次第で大きな武器になる。

就活アドバイス8:ある消費財企業で「エントリーシートにどのように対処していますか?」とお伺いしたら、「自分が審査員のときESだけではよくわからないのでいい加減に採点しました」と。確かにESだけで判定できるわけがない。ESで優等生の答案を書いてもしょうがない

就活アドバイス9:多くの企業の面接委員が無意識に判定の基準にしているのは、「この人間がわが社に入社したとき、自分がいっしょに働きたいかどうか」。だとしたら面接では「この人といっしょに働きたい」という思いを持つことが必要かも。
 
就活アドバイス10:その企業の業務内容に通じていることはある程度必要だが、過剰に詳しくなる必要もない。広告会社で面接を担当していたとき「広告研究 会で広告を研究しました」という学生はほぼ例外なく落とした。こちらの内心の反応は「学生に何がわかる!?」というもの。

就活アドバイス11:「優等生」的なフツーによく書けたESや自己アピールを書いてもしょうがない。多少のリスクはあっても、どこかフツーじゃないポイントがなければ面接担当はツッコミようがなくなる。

就活アドバイス12: 広告会社で面接担当をしていたとき「広告が好きです」という方がたくさん志願してこられた。「どう好きなのですか?」と聞くと、 「はい毎日テレビを見ていました」・・・それって単なるテレビ好きってことじゃ・・・好きならば徹底して広告を研究し分析してもらいたかった。

就活アドバイス13: 10分面接で何かを話そうと思ったら1時間話すネタを用意すべきだと思う。10分間の話に対して10分間分の話しか用意しなければ、それ以上話が展開できるはずもない。

*これは田中先生のおっしゃるとおりだが、かなり難度は高い。逆に言えば60分話せないようなネタは自己PRにならない と言うこと。私がD社に入って新入社員リーダーから一番はじめに言われたことは「たとえばコーヒーについて一時間話せといわれたら話せるようになれ」だっ た。

就活アドバイス14: 面接のとき、採用の可能性が高い人とは「もっと話したい」という思いが残る人だった。最初に履歴書を見て「あ〜この人とは何をこれ から話したらいいのか?」と言う人は可能性が?。面接担当者に「ここをつっこんで聞いてみたい」と思わせる仕掛けが欲しい。

就活アドバイス15:面接で笑いがとれる人は決定率が高い?本当かどうかは?しかし笑いをとれるだけの余裕と、ユーモアのセンスは重要。D社で昔々面接で一言もしゃべらなかったが合格した人が言った最後の一言「男は黙ってサッポロビール」。都市伝説かもしれない。

就活アドバイス16:面接担当者の心理は、1)長時間の面接で疲れている、2)有為な人材に巡り合わない、3)しかしいらつきを抑えて丁寧に面接する、という感じ。こちらが楽しくなるような面談が最高。面接とは面接担当者を楽しませエンタテインさせることにほかならない。

就活アドバイス17:その企業の志願動機は最も重要な質問の一つ。必然性が感じられることはもちろんだが、その人の個性や持ち味が反映していることが大事。マニュアルを見て考えたな、と簡単に見破られるのはNG。ここだけはとにかく自分のオリジナリティを考えること。

就活アドバイス18:「広告研究会」で広告を研究したと言う学生が評価できない理由。単にまともに勉強してないことが明らかだから。広告研究会は多くが海辺で夏にお店を出した、CRを作りました、がほとんど。面接担当者だってまともに勉強してないので余計腹が立つわけ。

就活アドバイス19:こういう超氷河期に何を考えたらいいのか。限られた自分の力をどう集中するか。自分が有利に戦いを進められる企業領域はどこか。こういうときだからこそ志をもつことがいっそう重要になる。

就活アドバイス20:もしも本気である業界を目指すのならば、中途半端ではなくて本格的にその業界なり商品について研究してみてはどうなのか。仮に広告会社志望ならば一週間すべてのTV広告を記録して何が有効な訴求なのかを分析してみてはどうか。

就活アドバイス21:面接のリハーサルをぜひ行っていただきたい。昔プレゼン術を英国人専門家に習った。プレゼンを成功させるコツ:1にリハーサル、2にリハーサル。面接を年上のベテランの人に聞いてもらい、改善する。リハーサルはつらい。でもやっただけのことはある。

就活アドバイス22:最初からやりがいのある仕事を求める若い人が多いらしい。注意すべきはサービス業とメーカーの違い。サービス業は若いころから現場に 仕事が任せられるので、若いころは面白いが年取って管理職になると面白くなくなる。メーカーは役職になって初めて意思決定が許されて面白くなる。

就活アドバイス23:会社というところモノつくりにしてもサービスにしても、結局何らかの意思決定をその都度行っている存在。現場は現場なりにその都度判断して行動している。自分はよりよく意思決定できているかが会社勤めに求められている。

就活アドバイス24:よく日本は就職ではなくて就社だと言われる。これは学生が悪いのではなくて企業が問題。自分の会社に就職させて、その会社になじむよ うにさせてしまう。学生としては就社を目指しつつ、就職=どのような仕事をしたいか、の両方を考えることを強いられているのだと思う。

就活アドバイス25:修士論文を指導した経験からだが、「自分のやりたいこと」これは重要。しかし「自分のやれること」これを知って論文のテーマと方法論を決めないと大変なことになる。就活もおそらくやりたいこととやれることの両方考えるべきかも。

就活アドバイス26:自分でも学生とその後長い間、何が向いているのか、さっぱりわかっていなかった。今の職業に行き着くなどとは考えてもみなかった。ビ ジネスなどしたくなかったし、大学院に進学するだけの力もなかった。たまたま今の道に迷い込んだのだが、人生は迷いの連続だ

就活アドバイス27:働いてみて自分のやりたいこととは別に、自分の可能性にはじめて気づくことは多いはず。しかし問題はひとりの人が一生の間に自分向き の職業に巡り合うだけの経験ができるとは限らない。就活に際しては自分の可能性に気づけるような会社に行く戦略も必要かも。

就活アドバイス28:会社を志望するのか、職種を希望するのか、という問題が結局最終的な問題だ。日本の会社は職種でなく会社を選ばせようとする。世間は 自分のやりたい仕事を選べと言う。もっとも学生が持っている情報は限りがある。就活のときに間違っていようがどこまで本気になれるかが課題だ。

就活アドバイス29:「自分のやりたいこと、それが問題だ」とわかったようなことを言う人がいる。自分のやりたいことはフツーわからない。結局老人になってもそれはわからない。だからこそ就活に際してはわかる範囲でいい加減でなく、必死に考える努力が必要なのだ

就活アドバイス30:私の会社員時代の経験でいうと同期で一番出世したのは何と仕事の現場を一切経験していない、経理財務畑の人間だった。一般化はできないが途中まで同期より早く出世したのが結局一番出世しているわけでもない。このあたり出世の法則性を見出すのは難しい。

就活アドバイス31:ある種の会社は外部から幻想を持たれている。「XX社なら、世の中のウラ全部知っているんでしょ?」という具合。「うれしい誤解」ならばわざわざ否定することもないので本人は一応肯定するものの、本当はまったくの幻想である場合が多い。

就活アドバイス32:「ごますり」という言葉には否定的なニュアンスがある。しかし外資系企業のほうが日本企業よりもゴマスリが必要。これを知らない人が 多い。ここでいうゴマスリとは、ボスのやりたいことをいち早く察知し、それを実現してあげること。それがグローバル企業。

就活アドバイス33:面接担当者も別に全能であるわけもない。ただの人間。なので担当者が知らないことを面接者が知っているとコンプレックスをもつ場合がある。例えば、語学ができる、理数系に異様に強い。こういう理由で私がいた会社時代に面接を(多分)パスしたのがいた。

就活アドバイス34:あるIT企業で聞いた。ある社員が転属願を出したが聞き入れられない。なぜか偉いさんに聞いたら「キミはオカネのニオイがしない」と 言われた。企業が人を選ぶ基準として「稼いでくれる能力があるか」が問われていることを知ること。良いか悪いかは別だが。

就活アドバイス35:前の会社で、なんでこんなのがウチにいるの?と思わせられた社員がたまにいた。そのヒトは単なる「変人」であるのを「個性」と面接担 当者に勘違いさせていた。面接重視の会社はこうした間違いを犯しやすい。短時間の面接で人間が判定できると思いこんでいる。

就活アドバイス36: 特定の分野で定評のある企業がある。モノつくりならトヨタ、マーケティングならP&G、花王など。こうした企業を通過してくると、 その後の転職に役立つ。転職まで考えるヒマは今の学生さんにはないかもしれないが、こうしたことも企業チョイスのうえで重要。

就活アドバイス37:超氷河期と言われているが、今に始まった話ではない。私のいた会社は昭和50年はオイルショックで、前年の半分以下しか採用しなかった。昭和51年はほぼゼロ名採用。日本の繁栄は終わったと言われた。日本はダメになると言われて続けて30年以上経つ。

就活アドバイス38:面接担当者は一日何十人も面接することが多い。面接後に覚えている人数はわずか。その人が思い出されるための「手掛かり」が大切にな る。「あ〜あのテニスで1位だった人ね」というように、自分がどのような手がかりで想起されたいか戦略的に考える必要がある。

就活アドバイス39:鈴木宏衛先生は元電通出身で名古屋にある金城学院大学で教授をしておられた。ご自身のHPにとても有用な就活アドバイスがあるので、ぜひ参照してください。

就活アドバイス40:ようやく会社を卒業する年齢になって、どういう人が出世してどういう人がそうでなかったかについてわかった部分が少しある。自分による自分自身への評価が、他人による自分への評価と食い違う場合だ。自分の評価>他人の評価、の場合が出世にはマイナス。

就活アドバイス41:私が就職した最初の二年間は地べたを這いまわるように地方(三重県四日市)で小さな商店を回る広告取りの営業をした。いつでもああい う仕事に戻れるという気持ちはその後の自分の”自信のような物”になっている。自分の意に沿わない経験も必要ということか。

就活アドバイス42:JALは就職人気ランキングで2009年まで4位くらいにいたらしい。学生の就活人気企業というのはちょっとした情報できわめて変わりやすいもの。一応は知っておいたほうがよい。

就活アドバイス43:面接で肝要なことはいかにして自分の話を面接官が楽しめるよう展開できるか。「正しい」こと「差しさわりのないこと」を言ってもしょうがない。面接官が「この人の話をもっと聞きたい」となるのがベスト。普段から面白いエピソードを集めておくこと。

就活アドバイス44:ゼッタイに内定を獲得するコツ。あなたがその会社で働いたら業績を上昇させることができるならOK。しかしそうした判定を下す能力を会社は普通もっていない。だからあなたがそうした能力を持っていると「知覚」さえしてもらえればよいのだ。

就活アドバイス45:会社での出世について。下層管理職の場合は仕事ができるかどうかが大事だが、ある程度以上偉くなる場合は、自分のボスの「引き」が重要。つまりボスが引き揚げたい人になること。ヒラメ(=上にしか目がついてない)と言われることを気にしてはいけない。

就活アドバイス46:面接担当者から逆に「質問はありますか?」と聞く時がある。「給料はいくらですか?」は???だが、「御社のCSRはどうなっていますか?」と聞くのもややわざとらしい。自分がその企業に本当の関心と知識があると思わせる質問が良い。

就活アドバイス47:就活人気企業に聞くと「本当にわが社に関心があるかをじっくり見極める」と言う。食品ならば徹底的に食品に切実な関心をもっている か。単に「食べるのがスキ」はダメ。また単に物知りというのではなく、学生のレベルでマジメに研究しているその態度が問われる。

就活アドバイス48:何か自分のアピールを話したら、その具体例をすぐに話すこと。「私はリーダーシップがあります」ならばどのようにそれをサポートする 「エビデンス」を具体的かつ詳細で関心を引くような事例を出してほしい。「サークルで副幹事をしていました」というのは最悪。

就活アドバイス49:自分の強みは少なくとも二つ。できれば3つくらい用意したい。ひとつは大学の外で、もうひとつは大学の中で、が望ましい。前にも書いたが自分が打ち込んだ大学の勉強も語ったら良い。

就活アドバイス50:新聞記者になった私のゼミの女性は、大学時代に代議士の秘書アルバイトをし、マーケティングゼミで活躍し、さらに大学のマスコミ塾で修業した。こうした3つの武器があるのは強い。

就活アドバイス51:使えるヒトかどうかのひとつの判断は、トラブルの対処の仕方にある。物事は思ったように行かない。どうやって問題を解決しようとする か。問題が何かを見極める姿勢が大事だ。顧客がクレームを言ってきたらまず本当にその問題が存在するかどうかを確かめる。

就活アドバイス52:「組織の歯車になるのはイヤだ」という声がある。甚だ疑問。組織の歯車はさびついていて順調には動かないのが普通。動かない歯車をどうやってぐいっと廻すか。実際にぐいっと回せる奴が優れた仕事人。またそれが組織で働くことの意味だ。

就活アドバイス53:面接担当をした経験で一番鬼気を感じたのが「私は会社のためなら死ねます!」とボクシングで死にかけた経験を話した方。一生懸命はわかるが、思わず引いてしまい、お引き取りいただくことになった…

就活アドバイス54:志願者の資質を判定するために大きな手掛かりになるのが、大学時代までに何かを成し遂げたかどうか。理由は、それまでに何かを成した ら仕事でも何かをしてくれるだろう、という期待。もし無い場合何かを突き詰めた経験を話す。仮にそれがパチンコであっても。

就活アドバイス55:英語ができないと嘆く方々に。英語が話せるようになるためには英語を徹底的に「読む」こと。英語が話せないのは英語が読めないから。読めるようになれば、話せるし聞けるし、書けるようになる。日本人は英語の読み書きが得意だが話せないというのは幻想

就活アドバイス56:その会社が何をしているか、他社ビジネスパーソンにはよくわからない。上場企業のリストを見ても何の会社かほとんどはわからない。その会社の雰囲気や組織風土に至っては他人にはまったくわからない。自社の人間ですらわからない。それが現実だ。

活アドバイス57:雰囲気が明るい、楽しい会社。そういう会社を希望する人は多い。ある銀行でめちゃくちゃ社員の雰囲気が明るい人たちの結婚式に出た。あまりに明るいのでこんなんでいいのか?と思った。ほどなくしてその銀行は消滅した。

就活アドバイス58:業界一位のリーダー企業の組織風土は往々にして厳しい。業界二位の会社は明るく「良い人」が多い。なぜか。一位企業は先頭で苦難を切り開いているから。二位はそのあとをついて行くだけでお気楽。無論こうした二位企業が一位を追い抜くことは永久にない。

就活アドバイス59:企業の雰囲気や組織文化を決める要因として業界や業種がある。食品企業は往々にしてのんびり。業界が激変することが少ないからだ。IT企業はもっと短期勝負で、長期的見通しには無関心。仕事のありようが従業員の行動や思考パターンに影響する。

就活アドバイス60:「御社の社風の特徴は?」と社員さんに聞くと「真面目なところです」という返事が多い。こういう会社には疑問を持たざるを得ない。不 正すら真面目に行ってしまうからだ。自社が「不真面目」と言う企業はない。真面目だけが取り柄とは取り柄が無い事を意味する。

就活アドバイス61:採用試験のグループディスカッション。私の会議経験では会議の最初のころの発言など誰も覚えていない。会議では誰もが言いたいことを言うがほとんどは結論には反映しない。一番影響力を持つのは最後の発言。全員言い尽した時自分の意見を入れてまとめる。

就活アドバイス62:グループディスカッション対策。反論するとき「貴方の意見に反対です」と言うと相手は気分を損ねる。「おっしゃるとおりですね。貴方 の意見に付け加えますと…」と言いながら堂々と反対意見を言う。誰もがさほどロジカルではあり得ないので自分の意見が通る。

就活アドバイス63:「感動した本は?」という質問。これを聞く面接者ほど本を読んでいない。これはチャンス。自分のペースに面接のモードを切り替えられ るからだ。「もしドラ」は相手が読んでいる可能性がある。プラハラード『ネクスト・マーケット』など良い。預言で遺書だから。

就活アドバイス64:とにかく面接では自分が得意とする領域に話をもってくることを考える。自分が経験し、深く考えていることについて。プレゼンでは自分が相手よりも知識が深いからこそ成り立つ。

就活アドバイス65:人にとって一番面倒くさいこと。それは考えることだ。大脳は多大なエネルギーを消費する臓器なのでサボりたがる。だからこそ良く考えている人の価値が高まる。面接者に「そこまでよく考えていますね」と言わせてはどうだろうか。

就活アドバイス66:他者の印象が、会ってすぐの短時間に形成されること。他者の人格判断で「暖かさ」属性が重要な役割を果たすこと。これらは心理学の知 見から得られる常識。ここから面接の戦略としては面接の始まりの短時間で暖かい人格の持ち主と判定されることが必要になる。

就活アドバイス67:「失敗しないための…」というタイトルの書きものがあるが、なぜ「失敗を若いうちにするための…」でないのか。若い失敗は年寄りのそ れよりリスクが少なく、得られるものが多く、打たれ強くなる。学生のうちに何を失敗したか、それを振り返ってまとめておく。

就活アドバイス68:「あなたは大学生として何を成し遂げましたか?」と成功体験を聞く企業は多いが「何を失敗しましたか?」と聞くのは少数。より正確に 言えば失敗体験から立て直した経験がもっとも役に立つ。人は限られた経験しかできない。同じ時間でより深い経験を積むこと。

就活アドバイス69:自分の経験では三回まったくの新人に戻って仕事した。一回は四日市から名古屋支社に移って、二回目は名古屋から東京本社に移って、三回目は留学から帰ってマーケティング局に配置されたとき。こうした「這い下がる」経験は今にしてみれば有用だった。

就活アドバイス70:自分の夢をかなえるコツ。夢をいつも念じること。精神論ではない。ノーベル賞のHサイモンが言っているが、いつもそのことを考えることによって、毎日の細かな意思決定が累積し、夢の方向に人生航路が動いていく。夢は持つほうが持たないよりも有利。

就活アドバイス71:面接のとき自分には自明のことでも前提をハッキリ説明する。友人関係や大学の在り方など聞いていてよくわからないことがある。部長をしていたころ上司に日報を書いて私のが一番評価を得ていた。なぜなら得意先の現状を市場シェアから丁寧に書いたため。

就活アドバイス72:自分の成果に客観的な「証拠」を。一番強いのは公的な表彰を受けたこと。会社員時代、優秀な営業は仕事が成功すると得意に表彰状をせがんでいた。社内で評価が高まるから。バイトでもゼミでも何か成し遂げたら表彰状をせがむくらいのことをしてもよい。

就活アドバイス73:企業の人たちが意外と考えていないこと。それは10年先の未来。将来世界や自社がどうなるか。明確なビジョンは誰も持てない。唯一確 実なことは10年先は現在の延長ではありえないこと。必ず予想外のことが起こる。10年後の構想を面接で話してはどうか。

就活アドバイス74:面接担当をしていたとき「いっしょに働きたい人を選べ」と言われた。二人で面接をすると大体上位の人たちは一致した。面接対策とし て、とにかくいっしょに働きたいムードが短時間で出せるか、事前テストしてほしい。これはトレーニング次第でなんとかなる。

就活アドバイス75:日本のサラリーマンの一番の欠点。それは抽象的にしか話せないこと。ビジネススクールの体験でも抽象的な言い方はするものの、 「それを具体的に言うと?」言えなくなる。「win-winの関係を作る」具体的には?ぜひ面接で具体的に言う訓練を心がけよう。

就活アドバイス76:「プラスティックワード」がある。アイデンティティのように意味ありげで何も意味していない言葉。Think Global, Act Localもよく使われるが、どのようにも解釈可能な言葉。バズワードを覚えて面接などで軽々と使わない方が良い。

就活アドバイス77:例を挙げて話すこと。説得力を増すためには例を挙げる訓練を。アメリカでリサーチの人がクリエーティブに話すときBad Exampleが大事だと言う。たとえうまくない例でも話を通じさせるために例が必要だ。相手が少しでも知っている事柄ならなおベター。]]

就活アドバイス78:面接担当として一番困るのは質問しても答えがポツポツとしか返ってこない学生(鈴木宏衛先生said)。「旅行はなぜ好きなの?」 「楽しいからです」「どのように楽しいの?」「仲間とおしゃべりするからです」「どんなおしゃべりするの?(あ〜疲れた)」

就活アドバイス79:面接にパスする学生の話は必ず面白い。「旅行はなぜ好きなの?」「発見があるからです。キルギスでレーニン像があるのでびっくりしま した」「キルギスってどこだっけ?なんでレーニン像があるの?」「それは…」「残念ながらもう時間です(もっと聞きたいナ)」

就活アドバイス80:新入社員のころキャバレーに先輩に無理やり連れていかれて母親のような年齢のホステスが登場するので辟易した。「先輩、なんでこんなところでお金使うんですか?」「バカ、ホステスさんを楽しませるようにしろ。それがキャバレー遊びの極意だ」(続)

就活アドバイス81:(承前)結局面接の成功は学生がいかにして面接担当者を楽しませられるかにかかっている。自分をアピールすることだけを考えてはいけ ない。いかにして相手が知らない情報を教えてあげられるか。楽しい話題を提供できるか。そのために自分の経験をフルに活かす。

就活アドバイス82:米国の日本人レストラン経営者に聞いた。米人を使って店を切り盛りするのは大変。叱るとすぐめげる。米国文化で誉められて育っているから。叱られて育った人は打たれ強い?自分がどのように育てられたかを一度振り返ってみるとよい。

就活アドバイス83:いかにして短時間で自分の資質を説得的にプレゼンできるか。「私にはリーダーシップがあります」このメッセージを信じるためには1)客観的な(権威のある)証拠、2)本人からノンバーバルに伝わる情報、3)そうだろうと思わせるストーリー、が大事。

就活アドバイス84:英国人にプレゼンを習った時聞き手を退屈させないことが重要と教わった。プレゼンは一方的に聞くだけだから基本的には退屈。しかし目線を変化させる、プレゼンターが眼鏡を取る、ボディランゲージを使う…、ちょっとした動きで退屈させないことが可能。

就活アドバイス85:企業人は学生に幻想を持っていることが多い。「最近の学生」の在り方に妙に興味を持つ。昔も今も大学生の本質は変化していないにも関 わらず。だからこそ「今の学生はこうなんです」的な話しに食らいつきやすい。このためには学生自身が変化に敏感でないとダメ。

就活アドバイス86:性格とはストレスがかかったときの反応と言う理論を以前聞いた。ストレスへの対処が性格なのだ。普段の自分ではなく、ストレスにおかれたとき自分がどう反応したかを振り返ってみよう。怒った、イライラした、無視した?

就活アドバイス87:面接で面接担当が面白く感じられることが重要と書いた(79,81)。しかし何が面白いことなのか、あらかじめそのレベルを知っておく必要がある。他の人に聞いてもらい事前テストする。自分で面白いと思っていることでも実際はそうでないことが多い。

就活アドバイス88:仕事は与えられるものではなくて自分で創りだすもの。これが前の会社の社員行動基準に書いてあった。仕事を創りだすためには、まずその会社の課題の定義ができないといけない。志望する会社で何が問題で次に何をなすべきか、構想を考えておいてはどうか

就活アドバイス89:そこにある仕事を処理できる人は多いが、仕事をあらたに創りだす人、新しい仕事の方法を提案する人は実際少ない。やり慣れたやり方を墨守する人が大多数。これは才能の問題ではなくて仕事への姿勢の問題だ。

就活アドバイス90:スタバを事実上創業したシュルツ氏はイタリア訪問したとき、エスプレッソバーの着想を得た。イタリアへの観光客は毎年何百万人もいる にも関わらずシュルツだけがこれを考え実行した。現実を変革する構想はすでにこの世の中に存在して発見されるのを待っている。

就活アドバイス91:世の中は不条理で満ちている。以前大前研一さんが著書の中でフォークリフトほど不合理な乗り物は無いと書いていた。荷物を持ち上げると前が見えなくなるからだ。おかしな仕事、納得できない仕事のやり方、改善すべきことに気付くよう心がけることが必要だ。

就活アドバイス92:私に言わせれば日本のタクシーほど非合理的な商売もない。いつ着くかわからない、行き方を知っていないと乗れない、いくらかかるかわからない、渋滞したら余分に金がかかる…こんな納得できない商売がほかにあるだろうか?

就活アドバイス93:丁寧な接客をせよ、こうした指示をする経営者は多い。その効果は疑問。誰にどのような対応をしていいかわからないのでとりあえず丁寧に対応しているだけ。顧客の問題を本当に解決できるかが問題。就活でも自分ならどう顧客課題を解決できるかをアピールする

就活アドバイス94:ビジネスをしていたころ同じ得意の競合プレゼンで10連勝した。競合代理店チームが全員入れ替わり、社長が泣きを入れた。なぜ勝ったか。チームの仕事のやり方を革新し、新しい考え方を導入したからだ。提案に強力な説得力を持たせることができた

就活アドバイス95:提案は事実の発見に基づいた提案であるほど説得力がある。学部ゼミを担当していた頃、或るブランド企業へ学生の調査に基づいて提案して高い評価を頂いた(ゼミ生の就活に役立ったはずだ)。事実の発見のない「アイデア」だけの提案には何の価値もない。

就活アドバイス96:何かを成し遂げたいと思っている人。その人の言うことを色んな角度からつついてみて矛盾が無い。この人の意思はリアルで本当だと思えること、これは重要。私のゼミ学生だった人で電機業界からマーケティング界の雄の企業に転職した彼はそういう人だった。

就活アドバイス97:抜きんでるためには他人よりも良く考えている必要あり。自分よりも良く考えている人に人は従う。このために普通よりも広い次元/視点で物事を捉える。一つは概念の再定義化。Q「戦争の是非は?」→A「戦争にはハードな戦争とソフトな戦争の二種類がある」

就活アドバイス98:自分自身に対する評価。これが高すぎる、あるいは低すぎる、これが問題だ。自分の面接のリハーサルをビデオで見ると正視できないのが普通。自分自身の在り方を正しく評価できていないからだ。自身を第三者の目で再評価して、対策と調整を考えよう。

就活アドバイス99:結局、1)自分の在り方、会社の在り方を、人よりも良く=深く考えておくこと、2)自分の言いたいことをあらかじめ第三者に「テスト」しておくこと、3)何度もリハーサルする(恥をかいておく)。単純なことだがこうした準備をしていない人が多いのも事実だ。

就活アドバイス100:「希望をもつこと。希望をもとうという意思をもつこと。このことは私にとって絶対に必要なことである。」石原吉郎。石原氏は終戦時ソ連に抑留されシベリアで8年間の過酷な労働に従事し日本に帰還した現代詩人。1977年62歳で没。

就活アドバイスは一応100回を目途としていましたので、とりあえず小休止ということにします。また折に触れていろいろ就活についてはつぶやきたいと思っています。自分のサラリーマン経験からアドバイスできることがあればお伝えしたいと思いました。ご愛読に感謝します。

就活メモ101:せっかくフォローしてくださっている方々もいることもあり、しばらく「就活メモ」というカタチで連続ツィートしてみようと思っています。よろしければお付き合いください。

就活メモ102:就職したばかりのころ同期でビジネスマンなりたてでありながらやたら業界事情に通じているのがいた。私はまったく無知。しかし連中がその後出世を果たしたかというと、まったくそうではなかった。(私も出世してないが)業界通と仕事の知識は別物なのだ。

就活メモ103:マーケティングを学部で学ぶ人は多いが、大学で学ぶ知識は企業ではスグ使えるわけではない。大学の知識は応用範囲が実務で限られているのでそうした場面に普段ぶち当たらないため。応用力があるところを見せる必要あり。例:STPをどう現実で応用して使うか。

就活メモ104:有能な社員とは自分が仕事ができるだけでは不十分。肝心なのは上司を説得してカネやヒトを獲得してくる能力。あるマネージャーはトップに満足できる製品ができるまでコミットする約束を取り付け、新ブランドのためウン億円の工場を新設させた。上をどう動かせるか。

就活メモ105:会社は遊びの場所だ。遊びだから失敗しても命までは取られない。成功すれば面白い。遊びだからこそいい加減でなく真剣にプレイする。いい加減な遊びほどツマラナイものはない。会社を使って自分がどうしたらもっと楽しく遊べるかを考えよう

就活メモ106:私の場合、仕事はゲームであり学習だと考えていた。仕事が面白くなるよう、ゲームとして競合に勝つ又は組織内で優位に立つよう仕事する。また仕事するたびに何か新しいことを学んでおけば自分の満足や能力も高まる。会社を合法的に「食い物」にしようと思っていた。

就活メモ107:大学を卒業して就職したときこれで試験や勉強や成績とおさらばだと思った。とんでもなかった。10年後米国の院に留学して、学部の成績表が大事なことを今更ながら知る。あちらでは死ぬほど勉強させられた。学部を卒業してはじめて勉強の必要性や意味がわかる。


就活メモ108:就活の最大の問題=学生の圧倒的な情報不足。東証上場企業の名前を見て何社についてどういう企業か言えるか。例えば富士フィルムは何で飯を食っているか。学生が知っている範囲の企業でなく、最初からまったく知らない業界や企業を真剣に考えるべきだ。

就活メモ109:以前バネの会社にお邪魔した。社長と役員さんたちの顔を拝見しながら「この方たちはバネを作ってずっと生活していらっしゃるんだ」と思った。最初からそういう自分がまったく知らない商品や業界をターゲットにして企業選びをしたら他人と違う就活ができるのでは。

就活メモ110:昔、広告会社を辞めてはじめて世の中のフツーの企業は広告をしていないことを知った。実際広告を大量に出稿するBtoC型の企業は少数派。数百円の商品を全国で売るために何億円もかけて広告を打つことのできる会社はマレ。広告人は世の中知らずなのだ。

就活メモ111:バズワード。世の中にはその言葉を言っただけで何かを言ったつもりになる言葉があふれている。例:「集中と選択」。なぜそれをしなくてはいけないのか。集中と選択とは本当は何なのか。そうした問題を考えている人ほどより説得力が増すことは間違いない。

就活メモ112:「要約力」というタイトルの本が過去に何冊か出版されている。モノゴトを簡単にしかも的をついたまとめができる能力、これは重要。「ようするに自分は何を言いたいのか?」要約力はある程度訓練すれば誰にもできる。例えば本を読んだとき100字でまとめてみる。

就活メモ113:要約力と並んで重要なのが、パラフレーズ(paraphrase)する能力だ。他者の言葉を引用するのではなく自分の言葉で言い換えること。他者の知識を自分の知識体系に置き換える。こうすることで初めて自分の知識を拡張でき、自分の理解度が高まることになる。

就活メモ114:ネット時代だから他人と差をつけるのが簡単になっている。どうすればいいか?新聞を丹念に読むだけで良い。日経産業や日経流通なども読むとさらに良い。新聞雑誌を読むのが少数派の時代だから、読むだけで簡単に物知りとして威張っていられる。何と良い時代なのか。

就活メモ115:ネットで人はより選択的に情報に接する。つまり自分の意見や考え方がより強化されがち。つまり自分の好きな情報にしか触れない。一方マスコミの良い点はネットほど情報選択できないこと。より多様な自己形成が期待できる。

就活メモ116:自分が年を取ってありがたいと思うことは、20−30年前のことでも社会人大学院生は知らないので物知りのような顔ができること。先日ヒッチコックの話をしたが知らない人が殆ど。想出話で授業ができてしまう。逆に言えば現代の社会文化の歴史を知ることが有用。

就活メモ117:「どんな会社に就職したいか」と「どんな仕事をしたいか」ということはイコールでない。私の同期の一人は広告会社に就職したが一度も現場を経験せず財務担当として常務になった。当面の就活生の戦略としては希望する会社と希望する職業の二種類を考える必要がある。

就活メモ118:優秀と見えるかそうでないか、の違いに、物事を区別する能力がある。例えば問題が山積している状況で優先的に解決が必要な問題を選び出す能力。「あなたはそのときどのように問題を解決しましたか?」「最も急がれている課題がこれでしたのでこう解決しました」

就活メモ119:以前にも書いたが、日本のサラリーマンの最大の問題点は「抽象的」であること。研究者は抽象的なことを扱っているように見えるがそれは具体的なことを効率的に表現した結果。サラリーマンは抽象的なカタカナ言葉で何かを言えた気になっている。

就活メモ120:マーケティングということをやっていてイヤになるのは素人でもできることをやっているのではないか、という思い。「ターゲットは誰ですか?」「おしゃれな人です」これは高校生でも言えるが、間違いとも必ずしも言えない。

就活メモ121:先日、起業してスモールビジネスを経営している方にお聞きしたら、「起業して人をはじめて雇うことが一番緊張した」とおっしゃっていた。なぜなら雇った人の人生に責任をもたなければいけないからだ。就活生も雇う側の気持ちを察することが必要だと思う。

就活メモ122:「適職」「天職」なんてあるわけない。自分が就いた職を「適職」に変えられるか、それが問題だ。

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