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エントリーシートと面接
田中洋先生(前法政大学教授、現中央大学MBA教授)の就活アドバイス
 田中洋先生はD社以来の友人で、極めて有能なマーケティングコンサルであると共に
著書の多い研究者です。twitter(+mixiつぶやき)上にとても貴重なアドバイスを発表していましたので、
ご本人の了解を得て転載しました。
●良いエントリーシートの書き方
●面接で成功する

就活について考える

ご意見、質問のある方はsuzukihiro111@gmail.com(鈴木宏衛あて)にお送り下さい。

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●良いエントリーシートの書き方
1エントリーシートの目的
エントリーシートは企業では
1)選考のスクリーニング(この人と面接するかどうかを決める)
2)面接の際の質問に使われる。
この両方の目的にかなうことが大切です。

@内容が明確であること 
・最大でもPRポイントは3項目位に絞る。大学の勉強(ゼミ活動)、クラブ活動、アルバイトなどである。
・アルバイトだけではなかなか評価されない。(ちなみに私が面接委員をしていたときは全く評価しなかった)
 それ以外の側面も書くこと。
A読みやすいこと 原則として短文で書くこと。
・特に面接で使われるときは面接官はエントリーシートから質問を見つけて聞くので、ぱっと見てわかりやすくないと適切な質問がこない。
[良くない例]
大学の勉強では経営学関連の授業が好きで、ゼミもそういう勉強の出来そうなゼミをとりたかったのですが、定員がオーバーして無理でしたので、独学で経営学 の著作を数冊読みました。。
[良い例]
大学の勉強では経営学関連の授業が好きでした。独学でずいぶん本もよみました。ゼミも経営関連のゼミをとりたかったのですが、定員オーバーでとれませんで した。
Bこの文章を通じて自分の何をアピールしているのかを明らかにすること
・たとえば能力か、性格か、意欲か、行動パターンか
C自己PRといってもその企業で自分の能力がどう生かせるかを書くこと
・つまり、志望動機といった側面もある
D就職コンサル(石川義二氏のアドバイス)
 S 状況Situationを書く・・・どういう状況であったか
 T 課題Taskを書く・・・何が課題か
 A 自分の行動Actionを書く・・・どういう解決を図ったか
 R 結果Resultを書く・・・どういう成果を得たか、反省点は何か
<例>
 S ゼミでは企業にプロジェクトを提案している
 T 議論が二つに分かれて収拾がつかない
 A 私は議論を整理し、ポジ/ネガ分析した
 R その結果議論が前に進みプロジェクトは成功した

このSTARは石川義二氏が開発したものである。
鈴木宏衛ゼミでは5年にわたって就職セミナーをお願いしてきた。
現在はマンパワーでのコンサルの他に「戦略人事室」を立ちあげて いる。

自分が書いたエントリーシートを分析してSTARがあるか(字数が少なければSやRは簡潔、または省略もよい。)を
チェックすること。
またTaskのハードルが高いかどうかチェックする必要がある

E志望動機の書き方(ゼミで指導していたものです)
             
◆志望動機は"御社の○○なところに興味を持った(やりがいを感じた)だから御社でぜひ働きたい。"となりがちですが、これでは多くの人と同じ文章になり ます。あなたらしい志望動機を書いてください。
◆そのためには、志望動機も自己PRと考えてください。
(自分の力)×(その会社の仕事)→御社で貢献したい
  としてください。
◆まず(1)その会社の中で自分が力を発揮できそうな部門を決める
次に(2)その部門に必要な能力を分析し、自分がその能力を持っていることを示す。

こう考えれば他の人とは違う「自分だけの志望動機」が書けると思います。
◆志望動機の書き方

 自分はこういう力がある
     ↓
 御社にはこういう興味深い仕事がある
     ↓
 だから私の力を生かしてこういう仕事をやり、貢献したい。
 
(注意) 「御社で自分を成長させたい」とか「御社で勉強したい」、「やりがいを発見したい」とかは、私が考えるに『NGワード』です。会社は皆さんを成 長させるために雇うのではなく、皆さんに会社を成長させてもらいたいのです。
◆例文(あくまでも一例です)
・広告会社マーケティング部門志望の場合
 私はゼミ活動を通じて消費者の心理を発見し、それを得意先の商品開発(広告戦略、プロモーション戦略・・)に生かすことを学び、さらに実際の企業への提 案を東京、大阪の有名企業2社に行いました。心理を発見するための調査方法やそれをアイディアに結びつけ、戦略を作る方法にチャレンジしてきました。
 御社のマーケティング部門は、消費者の本音を広告活動に結実させることが大切だと伺いました。説明会では得意先の企業が思いつかないような発想をだすの が重要な仕事だと理解しました。学生時代の経験を生かし、御社のマーケティング部門で働くことによって大学時代では得られなかった高度なマーケティングプ ランニングの仕事をしたいと思います。

・金融機関(地域総合職)
 私はゼミ活動で企業に向けて二つのプロジェクトを行いました。そのプロジェクトの中で、7−8回のアンケートを行い、その結果を分析して、わかりやすい グラフや資料を作成し、議論をすること繰り返し行い、とてもやりがいを感じました。データ把握、分析、資料作成、議論という能力を御社で生かしてゆきたい と思 います。
 御社の○○部門では、計数能力やそれを基にした顧客サービス力が求められていると御社資料や会社説明会から得ています。御社のなかで今の力をさらに伸ば し、質の高い仕事をすることで御社に貢献してゆきたいと思います。

●面接で成功する
 必ず面接に成功するという特別の方法はない。なぜなら面接は相互のコミュニケーションだからである。
相手次第で望ましいコミュニケーションの仕方は当然変わる。相手に併せて良いコミュニケーションをする工夫が必要である。
ただし、「これはまずい!」という失敗する面接はある。

失敗する面接その1 ワンウェイのコミュニケーション
・暗記してきたことをそのままはき出す。
 これはスピーチであってコミュニケーションではない!
(私が面接委員をやっていたときはとりあえず1分で自己PRしなさいと言って、覚えてきたことを話させた上で本格的に質問に入りました。でもこんなに学生思いの面接委員は少ないです)

※面接官のコメント(AERA2005.2.7より)
 「暗記してきたことを一方的に話し続ける学生がいるが、会話のキャッチボールになっていない時点でダメだと心得て欲しい。私たちは会話がしたいのです」


このようにならないためにどう練習するか?
 @自己PRを文章にして実際に声を出して練習をする。(一字一句を覚えようとしないでよい)
 A次にキーワードを書いた紙をつくり、これを見ながら声を出して話す。(このとき友人に話すような感じで話す)
 B紙を見ないで友人に話すように練習(友人や兄弟、両親に話すとさらによい)キーワードを忘れたらとばしても良い。
 ***これはプレゼンでも同じです。手持ちはせいぜいキーワードを書いたカード一枚です***

・相手にかまわず一方的に話す
 アイコンタクトをしながら相手が自分の話を聞いてくれているか確認すること


失敗する面接その2 面接官に負担を感じさせるコミュニケーション
・私が面接委員をした体験で一番困ったのは、こちらの質問に対して回答が短い学生、広がりがない回答の学生。
例(良くない例)
 「ほー、君は大学時代ずいぶん旅行をしたようだね、なぜ」
   「知らないところを行くのが面白いからです」
 「どんなところが面白いの?」
   「食べ物が違うところです」
 「どう違うの?」
   「味付けが違います」
 「どうして・・・・」
   「文化の違いだと思います」
 (この話は広がらないな・・・次のテーマを探さねば・・)

これは警察の尋問みたいなもので、コミュニケーションではない。面接官は、相手の回答を聞きながら、次に何を質問するかを必死になって考えている。こういう学生の回答はほとんどを聞いてないし面接官にとって負担になる。

たとえば次のようにすると面接官は身を乗り出して聞くようになる
 「ほー、君は大学時代ずいぶん旅行をしたようだね、なぜ」
   「初めてアメリカに行ったときにハンバーガーを食べて日本と味が全然違うのに気づきました。それに日本ではおいしそうに食べているのに、アメリカの人は味わっていない感じで、食文化が違うと感じました。」
 「じゃあヨーロッパに行ったときはどうなの?」」
   「パリでもマクドナルドに入りましたけど、ここも味が違います。スパイスに凝っているなと思いました。で、食べながら熱心に友人と語っていることも印象に残りました。ヨーロッパは食事はコミュニケーションという感じです。・・・・」」
 「ふーん、味と食事の仕方って関連しているのだね、他にも何か気づいたことがあるかな」
 「エジプトに行ったときは・・・・。文化の違いはとっても面白いと思います。御社(ツーリスト)で接客しながらもそういう文化の違いを楽しそうに話せればお客様も旅行の夢がどんどん広がると思います。」