第6章 態度と態度形成
 世の中にはいわゆるブランドものが氾濫している。ルイヴィトンのように幅広い年代や多様なライフスタイルの女性から選ばれるブランドもあれば、好き嫌いが分かれるブランドもある。このような「好き嫌い」を心理学では態度という。では、態度はどのように作られるのであろうか。この章では商品やブランドについての態度がどのように作られるか、どのような役割を消費行動で果たすかを見てゆく。
6.1 態度の定義とその特性
6.1.1態度とは
 態度とは、『特定の対象に対して好意的、非好意的に振る舞うことであり、学習された心的傾向である。相対的に「一貫性」があるもの』である。たとえば、ルイヴィトンは多くの女性から購入され使用される「好意的な振る舞い」の対象であり、この傾向は過去の学習、例えば友人が持っていて良さそうだったとか、ショップの雰囲気がすっかり気にいった、使っていて壊れない、古くさくならないなどといった過去の経験によって作られたものである。そしてこの態度が変わることはあまりなく、ずっとルイヴィトンを使い続ける。こういうときにその消費者はルイヴィトンに好意的な態度を持っているという。
 態度は一貫したものであるが、状況によって変化することもある。たとえば時間がある時と急いでいる時とではコンビニの弁当に対する態度も異なるであろう。中年男性がくつろいだ気分でコンビニに弁当を買いに行くときは、「メタボリック症候群」を意識して、「ヘルシー弁当」に好意を示すが、仕事が忙しく大急ぎで買うときには疲れをカバーするために肉類などカロリーの高い弁当が無性に欲しくなってしまう。


態度を示す対象は通常は「もの」や「こと」であるが、対象ではなく、具体的な行動に対する態度を考えるという見方をすることもある。このような考え方を「行動態度モデル」という。マーケティングでなぜ態度を重視するというと、態度が実際に購入行動に結びつくだろうと考えるからである。そう考えると態度ではなく、直接的に行動態度を把握することは意味がある。たとえば、レクサスへの態度(「レクサスが好きかどうか」)は調査すべき情報だが、好意者の中には単にあこがれているだけの人もいる。それよりはレクサスを試乗することへの態度(「レクサスに乗る」ことは好ましい、好ましくない)の方が今後の行動を予測する上で役に立つ。

6.1.2態度の特性とは
 態度は「好き嫌い」ということであるが、「好き嫌い」の程度を評価する視点はいくつか考えられる。この評価の視点を「態度の特性」と呼ぶ。ブランドにとって望ましい態度とは@強くて、A想起しやすく、Bその態度に確信があって,C過去から一貫していて、D周囲の影響を受けても変わりにくいことである。
(1)好意の程度(Favorability)
 「どの程度強い好意を持っているか」で、例えば不二家の「カントリーマーム」は他のどのクッキーよりもとりわけ好きであるとかの程度である。
(2)好意の思い出しやすさ(Accessibility)
「記憶された態度が引き出されやすいか」である。例えば、コンビニで買う好きなチョコレート菓子といえば「ポッキー」だというようにすぐ思い出されるかどうかである。
(3) 態度への確信Confidence 
 「自分のブランドへの態度に確信があるか」である。例えばdocomoの携帯電話を使っていたところ、かりに友人から「最近は若い人はauを使うものよ」といわれても、docomoへの気持ちが揺らがないとすれば態度への確信度は強いことになる。
(4)態度の継続性(Persistence)
 「その態度がどのくらいの期間変わらないか」である。例えば、子供の頃からソニーが好きで「ウォークマン」というブランドが大好き、今も、i-podではなく、ネットウォークマンが好きというように長い期間態度を維持しているかどうかである。
(5)態度を変えることへの抵抗感(Resistance)
「その態度を変えたくないという気持ち、変えることへの抵抗感」である。例えば、煙草のブランドのようにロイヤリティの高い商品の場合、好意的な態度はなかなか変わろうとしない。
 強いブランドを作り上げるとは、単に「非常に好きだ」と思われるだけではなく、競合品や新製品が出現しても影響を受けないこと、その態度が長い期間を維持できることをゴールにした戦略を作ることである。
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 自分のブランドが高シェアを持っているときは概してブランドに対する態度も高い。しかしこれで安心していてはいけない。態度の強さは5つの指標があるが、往々にして「好意の程度」だけしか考えてない場合がある。シェアが高いと流通のカバリッジが高いので、黙っていても売れる。しかし、そのブランドが想起されやすい状態にあるのか、消費者の態度は由良がないものなのか、ブランドを変える事への抵抗感が十分あるのかをチェックしておく必要がある。
一方、下位シェアの企業の場合は、トップ企業への消費者態度の弱みを発見し、攻めることを考えるべきであろう。上記の5つの指標をしらべ例えばトップ企業への態度の確信感が弱ければ競争的な価格で攻めたり、サンプリングなどでトライアルユーザーを増やす、プロモーションで態度変更が有利なことを納得させるなどの方法が有効である。

6.1.3態度の構造モデル
 態度は心理的にはどのような要素から成り立っているのだろうか。対象に対する知識、感情、行動からなると考える見方が普通である。この考えも含め二つの考え方を紹介する。
(1)三要素態度モデル
 態度は認知成分、情緒成分、行動成分からなるというモデルである。たとえば東京ディズニーランドについての態度は「シンデレラ城」「カリブの海賊」という認知があること、「ショーが楽しい」という感情を持っていること、何度でも行ってみたくなるという行動意欲からなるという考えである。
 認知成分とは、経験や学習によって獲得した知識やパーセプションである。これを消費者行動論では信念(belief)という。俗に信念というと、自分の思想とか信じ込んでいることを意味するが、消費者行動論ではそれほど深い心理的な状況を意味するわけではない。そのブランドの属性についての認知内容やその性能程度(パフォーマンス)の認知である。たとえばソニーの犬型ロボットAIBOはことばがしゃべれる、といったことである。
 情緒成分とは、感情、感覚という情緒的な要素である。評価的な意味を持つことも多い。たとえばAIBOと遊ぶと楽しい気分になれるということもあるし、ディズニーランドに行くとちょっと気分が変わるというのも情緒成分である。
 行動成分とは、その対象に対して特定の行動を取りたいという傾向。消費者行動論では購入意図と同じと考えて良い。たとえば、AIBOを買って遊びたいということであり、逆に毒々しい色のボトルの飲料は飲みたくないというのも行動成分である。
 ソロモン(Solomon2001)は、対象の商品が関心の高いものか、低いものか、あるいは使用経験を楽しむものかといったことで学習の仕方が異なると主張している。通常は、商品は、認知成分→情緒成分→行動成分の順番で態度がつくられる。これを認知主義的な態度形成という。例えば、電子辞書を選ぶときのことを考えると、まずどの辞書が自分の用途にふさわしいか認知的な判断をし、次に手触り・外観から来る気分や使っているときの自分の気持ち、たとえば海外マナー集が入っていることを発見して、「この辞書は便利だ」と思うだけではなく、海外で巧みに電子辞書を使っている自分を想像してうっとりとする。これは情緒的な学習である。そして認知と情緒が相まって入手して使ってみたいという行動的な態度が形成される。
 一方、関心が余り高くなく生活の中での重要性が少ない商品、これを関与度の低い商品というが、この場合は、認知成分→行動成分→情緒成分の順番で形成されることが多いとしている。これを行動型学習による態度という。たとえば洗剤のような商品の場合、スーパーの店頭で「洗浄力300%」といパッケージに書かれた言葉をみて洗浄力が高いことを認知し購入する。自宅で使っているうちにその洗剤になじみが出来て、何となく使って気分がよくなる。このようなプロセスである。
 最後に経験を楽しむような商品、例えばショッピングセンターやテーマパークなどは情緒成分→行動成分→認知成分という順番で態度が形成されてゆく。これは快楽型消費の態度形成と云われる。
(2)多属性態度モデル
 多属性態度モデルとは、対象物への態度は主要な属性についての評価の総和であるというモデルである。この総和をとる際に各属性の重要性を加味する。各属性に対する評価とは消費者心理学上は「属性信念」と云う。数式で表現すると以下のようになる。これはフィッシュバインモデル(Fishbien)と言われる。

 ブランドへの態度=Σ(そのブランドの各属性についての信念)×(その属性の重要性)

シャンプーを例に挙げると、属性には「仕上がりの髪のしなやかさ」、「香り」、「価格」などが考えられる。“属性の重要度”とは、その人がシャンプーを買うときに「仕上がりの髪のしなやかさ」をどの程度重視するかといったことである。例えば「非常に重視する場合」を10点とし、「全く重視しない」場合を1点にして数値化する。香りはたとえば7点ぐらいの重視度であるなど数値化される。また、“その属性についての信念”(属性信念)とは、このブランドがたとえば「仕上がりの髪のしなやかさ」という点で10点満点で何点くらいの評価かと云うことであるどのくらいに評価されるかということである。属性の重要度と属性信念を積み上げたものがそのブランドに対する態度になる。この数字をブランド間と比較すれば、どのブランドがもっとも態度が強いか分かることになる。
 

 この考え方は、人々が物事を決めるときの一般的な考え方といってよいだろう。意思決定に関連する要因をすべて挙げて、それぞれの解決案についてその要因の重要度から判断するものであるから「理性的なモデル」といえる。
人々がこんな複雑な計算をいちいちブランドを選ぶ時にやっているのかという疑問もあるが、認知心理学の視点では、人々は多属性態度モデルを用いたり、このモデルをもう少し簡略化した手法を使って意思決定をしているとしている。
(3)精緻化見込みモデル(ELM)
 精緻化見込みモデルとは、消費者の情報処理の特性と形成される態度の関係を説明するモデルである。消費者は情報処理に関与があるときは、そのブランドの特徴などを丁寧に評価してその結果として好きにせよ、嫌いにせよ強い態度を形成する。一方、関与が低いときは、ブランド特性などを丁寧に情報処理することはなく、パッケージデザインの美しさや広告で使われているタレントやCM音楽といった商品にとっては本質的でない点に注目して評価し、その結果として弱い態度形成をする。



6.2態度形成の方法
 態度が形成されるメカニズムがわかったところで、ではこの考えを使ってどのように強い態度をつくってゆくかを考える。ホーキンス他(Hawkins2001)は態度変容の戦略として情緒成分を変える方法、行動成分を変化させる方法、認知成分を変える方法と3視点から整理している。情緒成分の変更とは古典的条件付け、広告態度による態度の変化、単純接触効果などの認知の変更を伴わないで態度を変える戦略である。行動成分の変化は使用体験による態度変容、そして認知成分の変更は多属性態度モデルに基づいて態度を変容する考え方である。
6.2.1 情緒成分の変更
(1)古典的条件付けによる方法
 古典的条件付けの理論では快い刺激と対象物を結びつけることにより好意的な態度が形成できると考える。ブランドを呈示する時に常に快い音楽を流したり、人気あるタレントを使うことは好意的な態度を形成する効果的な手段である。例えば日清カップヌードルは、2006年の広告キャンペーンとして若い世代に人気のアニメを用いている。これはアニメへの好感をそのままブランドへの好感に結びつけようと言う狙いと考えられる。多くの企業が国家的イベント、たとえばオリンピック、ワールドカップサッカーなどのスポンサーになるのも、注目を引くだけの狙いでなく、これらのイベントについての好意をブランドに対する好意的な態度形成に結びつけようとするものである。環境をアピールする企業広告なども最近目立つが、これも環境に優しい=好意的態度=企業に対する好意度という条件付けを狙ったものである。

(2)広告態度による態度変容
 広告に接触すると広告表現を認知し態度変容を起こすと考えられるが、「広告態度」の研究では広告の好き嫌いが直接広告ブランドの好き嫌いにつながると結論づけている。タレントやヒット音楽を使って何となく気持ちよい広告をみて広告が好きになるとブランドに対しても好きになるのである。これも態度変容の戦略として使われる。



(3)単純接触効果
 ブランドを使用しなくてもそのブランドの情報や実物に何度も接触しているとブランドに親近感が湧いてきて、好意的な態度を持つというのが単純接触効果である。特に低関与の状況の中で接触を繰り返すことで好意的な態度が形成されるとされており、マス広告の必要性の重要な論拠となっている。
6.2.2 行動成分の変化
 ブランドを使用した場合、その体験が新しい認知を生み出すこともあるし、認知が変わらなくても行動の結果が好ましいと、条件付けのメカニズムが働き、好意的な態度を持つようになる。マーケティングでよく使われるサンプリングや試用促進のプログラムなどは試みに使っているうちに自然に態度が形成されることを期待している。
6.3.3認知成分の変化
 多属性態度モデルは、属性に対する認知(信念)と属性の評価によってそのブランドに対する態度が決まるという考え方である。従って認知構造を構成する諸要素を変えることにより全般的な態度を変えられることを示唆している。
具体的には(1)属性の重視度を変える(2)ブランド信念を変える(3)新しい属性を付加する(4)競合ブランドの信念を変える。(5)全体の評価を高めるの5タイプがある。態度を変えるための認知戦略がこのモデルでは明らかになる。
(1)属性の重視度を変える
 これは、従来の評価基準を変えることによって自社のブランドへの態度を良くしようというものである。たとえば航空会社の評価基準としてコストが最重視されているときに、高品質高コストの航空会社に対する好意度は低い。そこでサービスの質をより重視するように広告やプロモーションで働きかけると、そのような航空会社の好意度を高めることができる。このように消費者の現状の評価基準に疑問の投げかけ自社に有利な方向に変える戦略である。
2)ブランド信念を変える
 自ブランドの属性のうち、消費者が重視している属性について、ブランド信念を強化する方法である。例えば、航空会社の場合、多くの消費者が安全性を重視しているとすると、自ブランドの安全性をアピールするといった方策である。広告ではこのブランド信念への変更を促すものであるがもっとも多い。
(3)新しい属性を付加する
 これは自ブランドが、従来の評価構造の中では好意的な態度が形成できないような市場状況の時に、新しい評価基準を付加して、自ブランドに対する好意度を形成する戦略である。古典的な事例としては、アサヒビールが1985年にCIを導入した直後に「きれ」と「こく」というビールの新しい基準を消費者に提起し、「アサヒ生ビール」をリニューアルして新発売、さらには「スーパードライ」を発売した事例が挙げられる。商品開発、コンセプト開発するときに、従来の評価の枠組みでは当時のアサヒビールのようにシェアが低迷したブランドが成功するのは難しかった。こういった場合に、消費者が今後重視すると思われる属性を発見して新しい評価基準を消費者に提示し認知構造を変える戦略は有効である。
(4)競合ブランドの信念を変える。
 競合企業のブランド信念を変える、あるいは下げることである。事実や証拠に基づかない逆宣伝的な活動は倫理上許されないが、競合ブランドの売り上げが消費者の誤解によって支えられている場合などはそのことを適切に示すことによって競合ブランドのブランド信念を正すことは許される。
(5)全体の評価を高める
 これは多属性態度モデルを発動しないように消費者に働きかける方策である。たとえば「世界で一番売れているブランドです」とアピールすることによっていろいろな属性について検討する必要はないと感じさせる戦略である。

6.3態度と行動
 消費者行動は態度の結果だと考えられるが、必ずしも態度形成がそのまま行動に結びつかないことは既に述べた。この項では、態度と行動に関わる認知不協和理論、行動期待モデルについて考える。
6.3.1認知不協和 Cognitive dissonance theory
 人々は自分の信念や態度に矛盾が生じると心理的に不協和な状態になり、不快な気分になる。このような状態になることを「認知不協和」という。人は認知不協和になると何とか以前の安定した状態に戻そうと、認知、態度、行動を変えようとする。例えば何かブランドを購入した後に、もっと良いブランドが見つかった場合は不協和状態になる。このとき人々は自分の選択が誤りだと思いたくはない。その結果自分の選択についてネガティブな情報からは避けようとする。一方自分の選択の正しさをバックアップしてくれる情報に積極的に接触する。自分の購入したブランドの広告があればしっかり見る。
広告主はブランドが売れているからもう広告は必要がないといって広告を控えると、買った消費者にとっては自分の選択が誤っていたのかと不安を持ち、ひいてはそのブランドや企業に対する満足感が下がる。
6.3.2行動期待モデル Theory of Reasoned Action Model
 行動期待モデルとは態度と行動との間に社会的な規範を取り込んだモデルである。態度と行動が直接結びつかない理由として、その行動に関わる社会的規範や規範を重視するかどうかの意識が考えられる。このモデルでは、ある態度に基づいて行動をする時にその行動が自分にもたらす価値(行動の評価)とその行動が社会的に許されるかどうか(社会的規範)、さらには自分は社会的な規範を重視する人間かどうかを勘案して最終的に行動するかどうかを決める。
 この社会的規範意識をまとめて主観的規範(サブジェクティブノーム)という。


例えば、鉄分を主体としたサプリは血色を良くすると信じ、血色が良くなりたいと考えているので行動への肯定的な態度がある。しかし母親はサプリに対してやや保守的な考え方をもっていて、健康を守るためにサプリを飲むことに反対しているし、「世の中のサプリブームは誤っているのよ」といっている。この場合、サプリは多分飲まないであろう。しかし、母親が特に意見を持たず、コンビニに行けばサプリコーナーがあるので社会的に認められると考えれば、サプリを購入して飲む。
6.4 態度が行動に結びつく要因 
態度が行動に結びつく要因や条件としてマキニス(MacInnis他2001)は次の10点を指摘している。
@関与や精緻化の水準が高いとき
 例えば住宅とか金融商品などについては関与が高いので、態度と行動は比較的結びつきやすい。
A知識や経験 
その対象物の知識が多いときはもちろん態度がそのまま行動になるであろう。例えばテーマパークに詳しい人は新しい施設が出来て好感を持てば直ちに行動に結びつくと思われる。
B態度を分析させその理由を考えさせたとき
 何となく好意を持っているブランドについて消費者にその理由を自分で分析させた時に、態度が行動に結びつくことがある。たとえば何となくスポーティなデザインの車が好きだとすればその理由を考えることにより、自分の価値観が快適性よりは活動的なことに気づき、より行動を促される。
C態度へのアクセシビリティ
 トップオブマインド、すなわちその商品ジャンルで一番はじめに思い出されるブランドになること、こうすることで強い態度が生じ、消費者行動に結びつきやすくなる。
D態度への確信の強さ
 消費者がそのブランドに対して強い態度を持ち、状況の変化によっても揺るがないような態度を持っている場合は態度が行動に結びつきやすい。
E一般的な態度ではなく、特定のブランドや状況についての態度
 単にスナック菓子について好意的態度をもっているよりも、例えばカルビーのポテトチップについての好意的態度の方が購入行動に結びつきやすいのは当然であろう。またこういう状況の時にこのブランドが望ましいという状況と結びついた態度も購買に結びつきやすい。友人といっしょに食べるならジャガビーが望ましいとなれば、その状況での態度は購買行動に結びつきやすい。
F状況的要因 経済的要因など消費者を取り巻くマクロな状況の影響を受けて態度が行動に結びつかない事がある。多くの人がポルシェを入手したいと思っているだろうが、経済的に無理であったり、家族人数などの制約によってこの態度が行動に結びつくことはきわめて稀であろう。
G「態度―行動の結びつき」の期間 
好意的態度があってもなかなか行動と結びつかない場合は態度が弱まり、購買する可能性も減少する。
H規範的要因 
行動期待モデルが示すとおり、仮に好意的な態度があっても規範に基づく制約があると行動には結びつきにくい。
Iパーソナリティ要因
 開放的なパーソナリティの消費者は一般に新しい行動を起こすことに積極的であるが、例えば神経質なパーソナリティの消費者は好意的態度があっても購買行動を起こすことに関して慎重である。

本章の課題

最近の日本酒は軽い口当たりのワイン感覚の日本酒も出てきている。しかし、特に女性、とりわけ20代前半の大学生やOL層には「中年男性の飲み物」「妙に甘ったるい」「飲んだ後ににおいが残る」などというイメージで避けられている。このような非好意的な態度をどのように変えたらよいか提案してください。