マスコミュニケーションと現実
●マスコミは近世以降に生まれた。その理由は、人々の生活圏や社会圏が拡大し、未知の出来事、現象や理解不能のことが起きるようになり、それに対して人々が不安になり自分で納得するための解釈を求めるようになったからである。これを「認知の整合性」を求める心理ということも出来る。マスコミの本質は今も変わらない。
 マスコミは出来事や現象とその原因をわかりやすく説明する。人々がそれを求めるからである。
原因には内的(人間に起因するもの)と外的(環境や社会に起因するもの)の要因がある。(原因帰属)

 マスコミは「ニュースを伝えるというより」は「人々が(納得する)ものの(見方)や理由を提供」するものである。

   
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典型的な例
<松本サリン事件>
  解釈できない出来事
   人々→   不安→理由を知る→人々は安心できる
                 ↑         ↓
   マスコミ→ 原因・理由を提供 →人々が納得できる理由を補強(編集)

 解釈できない出来事 毒ガスにより住宅街で死者多数
  マスコミが提供した理由 =農薬を作ろうとして失敗した住人の責任
  その後の報道       =理由を補強する事実のみの報道
                   (前職が化学系の企業、愛知から転居した人間、外車を乗り回す地元と遊離した人)

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●マスコミはいったんわかりやすい「解釈」を決めるとそれにこだわる。
 多くの事実の中から「解釈」につながるものだけを編集して記事にする

 <恋人に殺された男性>
 解釈A わかりやすい解釈 この殺人事件は男女関係のもつれから
 解釈B 分かりにくい解釈  何となく殺したくなった

解釈Aの場合は、男性の今までの暴力歴やそれを表す性格、「よく口論をしていた」などの隣人の証言が記事として取り上げられ、二人で地域ボランティアを熱心にやっていたというような事実は取り上げられない。
解釈Bの場合は、犯人の性格や過去の行動の中でネガティブなことだけを取り上げる

 (原稿途中)